歯周病治療における統合医療(Integrative Periodontology)の考え方とその進め方
統合医療(Integrative Oncology)と云う用語は、食育、サプリメント、伝統医学などを併用し合理的エビデンスに 基づき通常行われている医療を補完する併用療法と定義付けている。 歯周病の発症は,細菌因子、宿主因子、環境因子、咬合因子からなる多因子性疾患である。かつては歯槽膿漏症とい われ、高齢になるにつれて歯の喪失を招く疾病といわれ原因が明確に解明されなかつた。 歯周病に大きな変革をもたらしたのは、歯周病菌による細菌感染が明確になり、機械的にプラーク細菌を除去するブ ラシング指導が普及してきたことである。歯周病菌の機械的除去のみでなく薬物(抗生剤)の投与も感染防止の観点 から行われ(歯周内科治療)、多因性疾患への取り組みも多様化してきた。又、基礎疾患との関連も暫時、解明され 歯肉内微細血管が歯周病菌を各臓器へ伝播し、微慢性炎症の除去が社会的にも取り上げられてきた(歯周医学)。 最近は、局所の細菌感染のコントロールを補完するために、生体免疫機構の解明や生活習慣の環境因子の関与も大き く取り上げられてきている。 免疫機能を高めるためにプロバオティクスの概念も取り入れられ、歯周病菌の消化管への侵入防止と抑制が大きな話 題を提供している。
本講演では、歯周治療の変革からみたup-to-dateな知見を含めて述べる予定である。